『壁に耳あり障子に目あり』
なんて言葉がありますが、
壁に穴が開いていたら
すべてが事を足りてしまいますね。
さて、渋谷・道玄坂の
割と静かな一角を歩くと
『壁の穴』という看板が目に留まります。
知らなければ見過ごしてしまう場所に佇む
『壁の穴』。
1953年創業。
何を隠そう、スパゲッティに
和風テイストを取り入れたパイオニアです。
老舗中の老舗のイタリア料理店です。
ずっと道玄坂で営業しているのかと思いきや
実は創業は新橋。
1969年にここに移転したことを知りました。
和風テイスト!
そう、「たらこスパゲッティ」を
編み出したお店としてつとに有名です。
更に、今では当たり前の
きざみのり、青じそ、の使用も
壁の穴が最初のようです。
当店の飽くなき創意工夫が
今日の我が国スパゲッティ文化に
新たな扉を開いたと言っても過言ではないのです。
ただ思うに、創業当時から
道玄坂に移って更に年月が経つまで
壁の穴においてもアルデンテの概念は
なかったと思います。
アルデンテを持ち込んだのは
「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」の
落合務シェフですから
かなり後になってのこと。
ちなみに、アルデンテは
アル=あたる、デンテ=歯、
つまり歯にあたる程度の硬さという意味です。
あとひとつ、スパゲッティの
うんちくにお付き合いくだされ。
イタリア料理の前菜は
スパゲッティ or スープのどちらかを選ぶように
フォークとスプーンが出されます。
勘違いしてフォークとスプーンで
スパゲッティを食べたのがアメリカ人。
やがて彼ら彼女らは気がつき訂正しました。
アメリカ人の真似をして両方使用し
なおさず、今日に至るのが我々日本人です。